facebook
キッズ
サイト
facebook

特徴と取り組み

自然を感じ、
学び、活かし
その暮らしを
次世代へ

豊かな自然環境は、私たちに様々な「自然の恵み」をもたらしています。また、先人たちが培ってきた独特の文化は「人の恵み」として私たちの生活に今なお活かされています。
志賀高原ユネスコエコパークの「自然の恵み」と「人の恵み」は地域の大切な資源であり、受け継いだ「遺産」となっています。これらを守り伝え、賢く使い、地域の持続可能な発展を目指すためにも、これを担う人材の育成として「学び」の取り組みを進めていきます。

自然環境

志賀高原はフォッサ・マグナ上に位置し、志賀山・草津白根山など複数の火山が密集した火山帯の外壁に囲まれた大きなすり鉢状の内側に位置する高原で、大小70余りもの池沼や湿原が多数存在する複数水系の水源地帯となっています。
ブナやミズナラなどの温帯の落葉広葉樹林、コメツガやシラビソなどの亜高山帯の針葉樹林が生育し、森林内には湿原が散在するなか湿原特有の植物も生育しています。また亜高山帯の針葉樹林の一部には原生林も残されています。こうした植生は、多様な動物種の生育にも影響を与え、ニホンザル、ヤマネ、オコジョなどの希少動物や、イヌワシ、ヒガラ、ルリビタキなどの鳥類も生息しています。

伝統的共有地と資源管理

緩衝地域及び移行地域の山林の一部は、地元集落の伝統的な共有地であり、中世以前より資源を採り尽くさないよう共同で管理し、集落の入会慣行により野草の採取や樹木の伐採など持続的に利用されています。また、河川の漁業権は地元住民による漁業協同組合にあり、雑魚川に生息するイワナ在来個体群は漁協の管理により適正な資源利用がされています。こうした地元住民団体による共同管理は、乱開発や水利権の乱用を防ぎ、志賀高原ユネスコエコパークの山を守る役割を果たしています。

ユネスコエコパークの利活用

ユネスコエコパークからの自然の恵みは私たちの暮らしに深く関わっています。
草津白根山などの山々からの「火山熱」は温泉などの観光資源として利用され広く親しまれているほか、SDGsの理念を活かした取り組みとして温泉熱や暖房や道路融雪に活用しています。
志賀高原では四季折々の自然環境を体験できるツアーの実施(トレッキングツアー)や自然に触れるだけにとどまらず、環境の保全・共生について理解を深めることを目指して環境学習プログラムを行っています。

環境保全の実現

自然と人間社会の調和の実現に向けて歌舞伎俳優・市川海老蔵さんからの提案を受け閉鎖されたスキー場を自然豊かな森に戻す植樹活動(ABMORI)やボランティア団体・スキー部の子どもたちなどによる湿原再生に向けた外来植物除去活動など行い、自然環境への負荷を極力少なくする取り組みを推進し自然との共存を目指しています。

文化・伝統の継承

志賀高原の樹木やネマガリダケなどの「山の資源」を利用して、炭焼き、竹細工、白箸づくり、ろくろ細工などが行われてきました。材料となる樹木の伐り出しを制限するなど、人々は江戸時代から山の恵みを利用するとともに自然を大切にしてきました。

自然の恵み

志賀高原ユネスコエコパークの大自然にろ過されて、ミネラル豊富な雪解け水は、田畑に流れ込み味わい深いみずみずしい農作物を育てています。
また、生活するうえでも欠かせない「水」は先人たちが原野開拓・堰の開削、引水後の堰の管理など多大な努力の賜物であり当たり前にあるものではないのです。

志賀高原
ユネスコエコパークの
ESD活動

生物圏の教育・利用・保全の調和を図るユネスコエコパークは、ESDの場としても好適で、ユネスコエコパーク・ESD(持続可能な開発のための教育)・ユネスコスクールの取り組みを連携させることによる相乗効果が期待されています。山ノ内町と高山村では、全小・中学校がユネスコスクールに加盟し、環境教育を軸としたESD活動に取り組んでいます。

ESDとは?

ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。将来にわたって持続可能な社会を構築する担い手を育む教育のことです。この学びを通じて、新たな価値観や思考力、行動力等を育み、持続可能な社会を創造していくことを目指します。

志賀高原
ユネスコエコパークを
活用したESD活動例

山ノ内町と高山村の教育委員会では、全小中学校をユネスコスクールに登録しています。各校では子どもたちの意識を大切にしたESD学習に取組み、交流会を行い互いに学び合っています。
緩衝地域では、信州大学教育学部附属志賀自然教育園や長野県志賀高原自然保護センターなどが、幼児から高校生までの子どもを対象としたネイチャーウォッチングや、地元小中学校の生徒によるごみ拾い、湿原再生活動が実施されています。
また、志賀高原観光協会ではユネスコスクールを始め、学生を対象とした講義と実習を経て環境について学ぶ「環境学習プログラム」を実践しています。

地形・地質(くわしくはこちら)

エリアには志賀山、笠ヶ岳、草津白根山、などいくつもの火山があり、これらの火山の活動時期は異なっていて、それぞれの噴火により形成された火山地形がみられます。大部分の地質は火成岩ですが、さらに古い時代の地下でのマグマ活動による緑色岩類が広く分布しています。

気候(くわしくはこちら)

ケッペン気候区分に基づく気候は亜寒帯湿潤気候(Dfb)ですが、標高の低い地域は温帯の温暖多雨気候に属します。エリア内の2,000m級の山並み付近では山霧が多く、厳寒期には日中でも気温が低いため、霧氷や樹氷がみられます。豊富な雪解け水は、信濃川水系及び利根川水系の重要な水源となっています。

植生(くわしくはこちら)

およそ1,600mを境にして上部はコメツガ、オオシラビソの亜高山帯針葉樹林、下部はブナなどの落葉広葉樹林となっています。溶岩台地の凹地には多数の湖沼や高層湿原が点在し、特殊な環境で生きる植物が生息しています。
維管束植物142科1446種が確認されています。

動物(くわしくはこちら)

高低差に富み、草地、湿原、湖沼、河川等の山岳環境から、多種多様な動物の生息が確認されています。オコジョ、ニホンザル、ツキノワグマなどの哺乳類、イヌワシ、ルリビタキなどの鳥類、ミヤマモンキチョウ、ベニヒカゲなどのチョウ類、カオジロトンボ、ルリイトトンボなどのトンボが生息しています。
脊椎動物28目76科194種、昆虫類13目141科972種が確認されています。

観光業(くわしくはこちら)

志賀高原ユネスコエコパークにおいて観光業は主要な産業です。特に火山地形と多雪地を活かしたスキーと、火山由来の豊富な源泉を活用した湯田中渋温泉郷・草津温泉は、国内有数の規模と歴史を誇ります。

農業(くわしくはこちら)

山ノ内町と高山村の移行地域では、果樹栽培、水稲栽培などが行われており、特に扇状地特有の水はけのよい土質・地形と昼夜の寒暖差が大きい気候に適合したリンゴやブドウなどの果樹栽培が盛んです。